行政書士 谷垣事務所 代表 谷垣 征和
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風営法の許可申請の一つに「特定遊興飲食店営業」の許可申請があります。
「特定遊興飲食店営業」とは、風営法で次のように定義されています。
「ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前六時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいう。」
具体例として、ナイトクラブが挙げられていますが、ほかにもライブハウス、ショーパブ等が挙げられます。
それでは、ここで言う、「遊興」とは具体的にどういったことを指すのでしょうか。また、どのような場合に許可がいるのでしょうか。
今回は、「特定遊興飲食店営業」許可申請について、「風俗営業」許可との違いについて見ていきたいと思います。(「風俗営業」についはこちらに詳しく記載しています。)
遊興とは何を指すのか
遊興には大きく分けて次の2つのタイプがあります。
鑑賞型の遊興
不特定多数の客にダンスやショー、を見せたり、バンドの演奏を聴かせるような行為です。
そして、店側がこれらの行為を意図的にセッティングして、客に見せたり聴かせたりする行為を行う場合を指します。
一方、たまたま居合わせたミュージシャン等が、その場のノリで店側の依頼でもなく勝手に演奏したり、歌ったりした場合は、これに該当しません。また、テレビの映像を流す等の行為も「特定遊興飲食店営業」の遊興にはあたりません。
参加型の遊興
場所を設けて客をゲームに参加させたり、ダンス等を行わせたりする行為、また、カラオケ大会を開催してそれに客を参加させたりする行為がそれにあたります。
これも客が自分の意思でカラオケに合わせて踊ったり、客同士が盛り上がって勝手にダンスをするような場合は該当しないとされています。店側の意思で行わせることがここで言う「遊興させる」ということになります。
ただし、遊興という概念に関しては、あいまいなところもあるので、分からないときは許可が必要なのかそうでないのかを管轄の警察署に相談することも必要かと思います。
酒類を提供
「特定遊興飲食店営業」の営業許可が必要な要件に、「酒類の提供」があります。いくら客に遊興をさせたとしても、酒類を一切提供していない場合は、この許可を取る必要はありません。
午前0時から午前6時までの営業
「特定遊興飲食店営業」にあたるのは、午前0時を超えて午前6時までの時間帯に営業する場合です。午前0時までに閉店する場合には、この許可はいりません。
「特定遊興飲食店営業」に該当する要件
つまり、「特定遊興飲食店営業」の許可が必要な要件としては、
①店側が不特定多数の客に遊興をさせる
②酒類の提供がある
③午前0時から午前6時までの間に営業している
ことがすべてあてはまる場合と言えます。
「接待」はできない
ちなみに「風俗営業」の許可では、午前0時までの営業しか与えられていません。午前0時を超えて酒類の提供をする場合には、前述の通り「特定遊興飲食店営業」の許可を取る必要があります。
ただし、この「特定遊興飲食店営業」の場合は、「風俗営業」で認められている「接待」はできません。「接待」をすることが、お店の営業形態としてあるならば、「風俗営業」の許可を取るしかありません。その場合、何度も書きますが午前0時まで(神戸市では一部午前1時まで)しか営業はできません。
場所的規制
「特定遊興飲食店営業」は、深夜から朝までの営業が認められているということもあり、かなり厳しい場所的規制がかけられています。
神戸では次の場所でしか、営業が認められていません。
名称 | 地域 |
三宮地区 | 神戸市中央区のうち 加納町3丁目並びに中山手通1丁目及び2丁目のうち市道長田楠日尾線以南の地域 加納町4丁目 下山手通1丁目及び2丁目 北長狭通1丁目及び2丁目 |
福原地区 | 神戸市兵庫区のうち 福原町 西上橘通1丁目及び2丁目 西橘通1丁目及び2丁目 西多聞通1丁目及び2丁目 |
また、神戸市以外の兵庫県では、次の場所のみ認められています。
名称 | 場所 |
神田新道地区 | 尼崎市のうち 昭和通4丁目及び5丁目 昭和南通4丁目及び5丁目 神田北通2丁目から4丁目まで 神田中通2 丁目から4丁目まで 神田南通1丁目 |
魚町地区 | 姫路市のうち 坂元町 本町のうち国道2号以南及び市道城南29 号線以西の地域 福中町 西二階町のうち市道城南 29 号線以西の地域 魚町 立町 塩町 十二所前町のうち市道幹第8号線以北の地域 |
しかも、上記場所のうち、病院又は有床診療所の敷地から 30 メートル以内の地域にあっては、許可を受けることができません。
(ただし、旅館業法第2条第2項に規定する旅館・ホテル営業の施設内に所在し、かつ、国家公安委
員会規則で定める基準に適合するもの(ホテル等内適合営業所)については、場所の制限なし)
この要件だけ見ても、お店が営業できる場所は、相当限られていると言えるでしょう。
その他の基準
「特定遊興飲食店営業」の許可を取るには、それ以外にも人的基準と営業所の基準をクリアしなければなりません。おおよその基準を載せますので、正確には管轄警察署のページで確認してください。
人的基準
○ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者
○ 1年以上の懲役もしくは禁錮刑等に処せられ、その執行を終わってから5年を経過しない者
○ 集団的、常習的に暴力的不良行為を行うおそれの者
○ アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
○ 心身の故障により特定遊興飲食店営業の業務を適正に実施することができない者
○ 特定遊興飲食店営業の許可を取り消されて5年を経過しない者 など
営業所の基準
○ 客室の床面積は、一室の床面積を 33 ㎡以上とすること
○ 客室の内部に見通しを妨げる設備がないこと
○ 善良の風俗等を害するおそれのある写真、広告物、装飾等の設備がないこと
○ 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと(営業所外に直接通ずる客室の出入口を除く)
○ 営業所内の照度を 10 ルクス以下とならないように維持すること
○ 営業所周辺において、50 デシベル以上の騒音又は 55 デシベル以上の振動が生じないこと。
また、営業所が「ホテル内」に設置される場合は、前述の「場所的規制」がない代わりに、このほかにも基準が設けられています。
必要書類
申請に必要な添付書類等については、「風俗営業」許可申請とほぼ同じです。(こちらからも確認できます。)
- 許可申請書
- 営業の方法を記載した書類
- 営業所の使用権原を疎明する書類
- 営業所の平面図
- 営業所周囲の略図
- 住民票の写し(申請者・管理者)
(日本人にあっては本籍、外国人にあっては国籍が記載されたものでマイナンバーの記載がないもの) - 欠格事項に該当しない旨の誓約書(申請者・管理者)
- 業務を誠実に行う旨の誓約書(管理者)
- 市町村長等の証明書(申請者・管理者)
(成年被後見人もしくは被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書、破産者で復権を得ない者に該当しない旨の区市町村の証明書) - 写真2枚(縦3.0㎝×横2.4㎝) (管理者)
- 手数料(営業の種類によって異なります)
標準処理期間
これも「風俗営業」の許可申請と同じで、申請してからおおむね55日間とされています。(土日祝祭日を除く)
その他の許可申請
今回の話は、「特定遊興飲食店営業」についてでしたが、風営法の許可申請には同じ午前0時から午前6時まで営業できる種類のものに、「深夜における酒類提供飲食店営業」の届出(許可ではなく届出になります)があります。
ただし、こちらは「遊興」にあたる行為が禁止されています。
(「深夜における酒類提供飲食店営業」についてくわしくはこちらから)
「遊興」にあたる行為を行うならば、やはり最初から「特定遊興飲食店営業」の許可を取って営業を始めることが必要です。または、飲食店を経営していて途中から「特定遊興飲食店営業」を始める場合は、きちんと許可を取ってから「遊興」にあたる行為をする必要があります。
まとめ
風営法の申請には、いくつかの種類があり、どの許可または届出をするのかは、お店の営業形態に深く関わってきます。
まずは、どのような形態で営業したいのか、営業時間はいつからいつまでなのか等、ビジョンを見据えたうえで、どの申請・届出をするのかを考えることが大切です。
「風俗営業」許可申請も同じなのですが、提出書類が多く、集めたり記入したりするだけでもたくさんの時間と労力が必要になります。また、図面を描いた経験がある方ならまだしも、あまり経験のない方にとっては、かなりの負担となることと思います。
そんなときは、専門家にすべて頼んでしまうのも良い方法かと思われます。
当事務所では、いろいろな風営法申請について、最初から最後までトータルでサポートいたします。申請書類や添付書類、図面の作成だけでなく、官公署への連絡や調査の日程の調整等、もちろん調査の立会いも行わせていただき、できるだけ依頼者の方々のご負担にならないように進めてまいります。
風営法申請に迷ったときは、是非ご連絡ください。
特に神戸、大阪など阪神間でお店を営業される、またはされている方、迅速に対応させていただきます。
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