行政書士 谷垣事務所 代表 谷垣 征和
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風営法の申請と一口に言っても、営業形態や業種によって、申請の方法は違います。
今回は、パチンコ店を開業する場合とゲームセンター等の遊戯施設を開業する場合の申請の違いを書いていきたいと思います。
風営法における営業種別
まず、風営法において「風俗営業」は5つの種別に分けられています。
条文を少し平たくすると、次のようになります。
①キャバレー、スナック、ラウンジなどで、客に接待をして遊興、飲食させる営業
②店内の照度を10ルクス以下にして、喫茶店、バーなど客に飲食させる営業
③店内を見通すことが困難な広さ5㎡以下の施設で、喫茶店、バーなど客に飲食させる営業
④麻雀屋、パチンコ店など客に射幸心をそそるおそれのある営業
⑤スロットマシン、テレビゲーム機等本来の用途以外の用途で客に射幸心をそそるおそれのある営業
(ここで言う「射幸心」とは、人が幸運を得たいと願う感情のことです。)
パチンコ店は、いわゆる4号営業、ゲームセンターは5号営業ということになります。
4号営業と5号営業の申請の違い
では、パチンコ店とゲームセンターの申請の仕方の違いはどうでしょうか。
用途地域による距離制限
神戸市を含む兵庫県では、細かく用途地域を分け、それに応じて「保護すべき施設」から一定の距離に風営法の対象となる施設の設置を制限しています。詳しくはこちら「風俗営業許可申請~営業形態による違い~(兵庫県)」に記載しています。
兵庫県における商業地域である第4種地域であっても、学校や図書館等からはゲームセンターを含むパチンコ店以外の施設は30m以上、パチンコ店においては50m以上離れていなければ、設置することはできません。
また、それ以外の地域でも、ゲームセンター等の遊戯施設に比べて、パチンコ店はより厳しい距離制限が設けられていますので注意が必要です。
営業許可を取ろうとする場合は、距離制限区域内に保護施設がないかどうかを念入りに調べる必要があります。
営業時間の制限
これは、ご存じの方が多いと思いますが、パチンコ店の営業時間は、午前10時から午後11時までと決められています。
それに引き換え、ゲームセンターの場合は午前6時から午前0時まで営業できます。(年末12月21日から年始1月5日までは、午前6時から午前1時まで営業可)
手数料の違い
ゲームセンターを含むパチンコ店以外の営業許可申請の手数料は、3か月を超える営業をする場合、一律24,000円ですが、パチンコ店の場合は25,000円とわずかではありますが違いがあります。また、パチンコ店の場合、お店に設置する遊戯機の中に認定機以外の遊戯機がある場合は、27,600円となります。さらに、遊技機の台数×40円が必要となります。
認定機とは、公安委員会からお店に設置されている遊戯機について、「著しく射幸心をそそるおそれのない遊技機」として認定を受けたもののことを指します。この認定の期限は3年間で、それを過ぎるといわゆる「みなし機」となり、故障しても部品交換等ができなくなります。認定機以外の遊戯機とは、このことを指します。
4号営業、5号営業特有の規制
風営法19条は、4号営業であるパチンコ店の営業者に対して特別の定めをしています。
一言で言うと、「国家公安委員会規則で定められた基準を守って営業しましょう」ということですが、具体的には、遊戯料金や商品の提供方法、商品の価格の最高限度額についての基準の順守ということになります。
また、同23条には、「営業者の禁止行為」についての定めがあります。パチンコ店を営業する人は、次のような行為をしてはならないことになっています。
①現金または有価証券を商品として提供すること
②客に提供した商品を買い取ること
③遊戯に使う玉やメダルを客に営業所外に持ち出させること
④遊戯球やメダルを客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること
一方、5号店であるゲームセンターについては、同じく23条で、営業者に次のようなことを禁止しています。
①その営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供すること
②遊戯に使う玉やメダルを客に営業所買外に持ち出させること
③遊戯球やメダルを客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること
②と③はパチンコ店と同じ禁止事項です。①について、ゲームセンターによく置かれているクレーンゲームはどうなるのかという問題があります。取れたか取れなかったかという結果に応じて、取れた場合には商品がもらえる仕組みになっていますので、①に違反するのではないかと思われますが、実はこれは例外として、認められています。
日本アミューズメント産業協会の「アミューズメント施設における景品提供営業のガイドライン」によって、「クレーン式遊技機等の遊技設備によりクレーンで釣り上げるなどした物品で小売価格がおおむね800円以下のものを提供すること。」は、ゲームセンターにおける景品として認められることになります。
以上のように、その業種の性質上、風営法に定められた他の風俗営業にはない特殊な規制が、4号店、5号店にはなされています。
申請における必要書類
パチンコ店やゲームセンターを開業するにあたっては、お店の所在地を管轄する警察署に申請書等を提出することになります。
主な提出書類は、他の風俗営業にも共通するものが多いですが、管轄の警察署によっては、ほかにも必要な書類がありますので、問い合わせて確認する必要があります。
- 許可申請書
- 営業の方法を記載した書類
- 営業所の使用権原を疎明する書類
- 営業所の平面図
- 営業所周囲の略図
- 住民票の写し
- 定款、登記事項証明書(法人の場合)
- 誓約書
- 市町村長等の証明書
- 管理者の写真2枚(縦3.0㎝×横2.4㎝)
- 遊技機に関する書類
- 手数料
人的規制
これも他の風俗営業とほぼ同じですが、次のようは人は、許可を得ることはできません。
- 破産手続き開始を受けて復権を得ない者
- 1年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、または無許可風俗営業等の特定の違反で1年未満の懲役もしくは罰金の刑に処せられ、その執行が終わり、または執行を受けることが亡くなった日から5年を経過しない者
- 集団的、常習的に暴力的不良行為を行うおそれの者
- アルコール、麻薬、大麻、あへん、覚せい剤の中毒者
- 心身の故障により、風俗営業の業務を適正に実施することができない者
- 風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
まとめ
風営法の申請には、お店の設置場所や人的規制、営業の方法など、気をつけなければならないことがたくさんありますが、パチンコ店やゲームセンターといった4号営業、5号営業の場合は、さらに特殊な規制がかかってきます。
途中で足踏みすることがないようにしたいものですが、たとえそうなってもお店のオープンに間に合うようにするには、早くから計画を立てた準備が必要です。
できるだけスムーズに計画が進めようにするためには、専門家の力を借りることも大切になってきます。
当事務所では、遊戯場の営業許可申請を全力でサポートします。
お早めにご相談ください。
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