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遺言書の内容は知らせるべき?~行政書士から見た遺言書の本当の意味~

神戸市灘区の行政書士谷垣征和です。
今回は、遺言を書く意味についてのお話しです。
 
遺言の主人公は遺言者

 
 遺言は、相続人となる人たち(配偶者、子、両親、兄弟姉妹など)が、遺産を相続するうえで争うことのないよう円満に進められるようにするためにも必要なものです。そして、遺言は遺言者の意思をきちんと伝えるという大きな役割を果たします。

 ここで大切なことは、「遺言は遺言者の自由意思に基づく」ということです。
 いくら相続人のためと言っても、それはあくまで遺言者の意思があることが前提です。遺言者の意思がないにもかかわらず、遺言の作成を進めることはできません。

 次のような例があります。

 仮に、遺言者となる人をAさんとしましょう。そのAさんの子が、自分たちの将来のためにとAさんに遺言書を書くように勧めたとします。Aさんは、遺言の趣旨を理解して、あくまでも「自分の意思」で遺言作成に取りかかりました。遺言作成を進めていく中で、各相続人の相続分について決定する段になったとき、相続人の中からいろいろと助言をする人が現れ始めました。
 Aさんには、当然自分の意思があり、その自分の思いを遺言に書きたいと思って始めた遺言書の作成でしたが、そうした周りからの言葉についつい自分の心が揺らぎ、当初は自分が決めていた相続分を変更することにしたのです。ところが、Aさんの心の中には、その後ずっともやもやしたものが残り、苦慮した結局、作成半ばで遺言書の作成を止めてしまいました。

 結果、残せたはずの遺言が残せなかっただけでなく、このケースでは、かなりの確率で遺産分割協議は紛糾することになるでしょう。

遺言の自由と効力

詐欺、脅迫による遺言の禁止 

 民法891条四「相続人の欠格事由」には、「詐欺又は脅迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者」が挙げられています。
前述の事例では、無理に遺言を書かせたわけではありませんが、相続人となる人には、遺言の趣旨をご理解いただき、決して強要することの内容にしなければなりません。

遺言の撤回

 民法1022条には、次のような記述もあります。

「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」

 遺言を作成した後は、もう書き直すことはできないものと思っておられる方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。
 遺言は、いつでも、何度でも作り直すことができます。

 書き直すことは言者の自由です。もちろん、自筆証書遺言でも、公正証書遺言でも、また秘密証書遺言でもこれは同じことです。自分で保管していない場合(公正証書遺言は公証役場に保管。また自筆証書遺言は、手続きをすれば法務局で保管できる。)でも、手続きを経ることで、内容の変更が可能です。

遺言の抵触

 また、民法1023条に、次のような記述があります。

「前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。」

 内容の変更をしなくても、新しく遺言を作成することによって、後の遺言が優先されますので、先の遺言を撤回したこととなります。
 後の遺言の方式は、先の遺言と違う方式で行うこともできます。例えば公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することもできますし、その逆も同じです。

 ただ、この場合は、新しい遺言が発見されないことのないような注意が必要です。発見されなければ、先の遺言に従って相続手続が行われてしまうことになりかねません。そうなっては、後の遺言をしたことに意味がなくなってしまいます。
 また、もちろん後の遺言の方式が整っていなければ無効になってしまいますので、先の遺言が効力をもつことになります。

 遺言はあくまで遺言者の自由です。遺言者が自分の意思に従って書いたり、書いたものを撤回したり、変更したりできるのです。

相続分の指定

 
 もう一つ、重要なことがあります。相続分、つまり「誰に何をどれだけ残すか」についても、遺言者は自由に決められるのです(指定相続分)。

 民法900条は「法定相続分」を定めた条文です。遺言書がない場合や、相続人同士の話し合いでまとまらない場合には、この法定相続分を目安に遺産を分けることになりますが、遺言がある場合は、遺言が優先されます。つまり、遺言者は自由に相続分を決めることができるのです。

 相続人(兄弟姉妹を除く)には、「遺留分」というものがあり、相続人が最低限相続できる相続分が決められており、一定の遺産を相続する権利が認められています。ですが、この「遺留分」を無視した遺言が無効かというと、そんなこともありません。もちろん、法的に認められた権利ですから、遺留分を侵害されている相続人は、請求(遺留分侵害額請求という)によって、遺留分を金銭で請求することができます。

 遺留分を守らずに相続分を決めた遺言も、遺言としては有効なのです。(もちろん、遺留分についての争いが起きないよう配慮するならば、そのあたりはよく考える必要があるでしょう。)

まとめ

 遺言は、遺言者の自由です。そして、遺言を残すか残さないかを相続人となる人に伝える必要もありませんし、伝えようと考えるなら遺言者の意思で伝えてもかまいません。民法が守ろうとしているのは、遺言者の意思です。遺言者の財産について、どう承継させるかは、財産の所有者に決める権利があるのです。

 相続人となる人たちへの「配慮」はもちろん必要です。それは遺言書の中に、気持ちとして残すことができます。ただ、自分の財産をどうするかは、遺言者自身が決めるべきです。あくまで、遺言の主役は遺言者なのです。

 当事務所では、遺言者の思いがきちんと映された遺言となるよう、遺言作成の最初から最後までサポートいたします。

 神戸、大阪周辺にお住まいの方で、遺言作成を考えておられる方は、ご相談ください。

行政書士 谷垣事務所  代表 谷垣 征和
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