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運送業の許可を取ろう~一般貨物自動車運送業の手引き~

 

一般貨物自動車運送業とは

運送業には、様々な種類がありますが、その中でも、他者からの依頼で、普通トラックを使用して荷物を運送し、運賃を受け取る事業を「一般貨物自動車運送業」(以下、「一般貨物運送業」と表記)と言います。

運送に使うトラックの種類には、いわゆる4ナンバーのトラック(小型貨物車)や1ナンバーのトラック(普通貨物車)、8ナンバーのトラック(冷凍食品などの運送に使われる特殊車)などが挙げられます。

許可を受けるための要件

営業所

営業所は、賃貸でもかまいませんが、2年以上の賃貸借契約がわかる書類を提出します。2年以下の契約でも、自動更新されることが明記されていれば要件を満たします。営業所の場所は、農地法、都市計画法、建築基準法に抵触しないことが必要ですので、営業所を決める際には、まず確認します。

農地法の定める「農地」や都市計画法の「市街化調整区域」などには、基本的には施設を設けることができません。他にも細かい規定がありますので、営業所を管轄する運輸支局に確認することが大切です。これは、後述する車庫(屋根のないもの、いわゆる青空駐車を除く)、休憩・睡眠施設についても同様のことが言えます。

また、申請時には営業所に必要な備品が備え付けられているかを確認する写真を添付することになっていますので準備をしておきます。申請時に間に合わなければ、準備が整った後に撮影して提出します。

最低車両台数

一般貨物運送業を始めるために最低限備えておかなければならない車両の台数は、営業所ごとに5台以上と決まっています。

また、けん引が必要な車とそれをけん引する車は、1セットで1台とみなされます。

一般廃棄物運送事業や、需要の少ない離島などで運送業をする場合は、この規定の対象除外となっています。

事業用の車両はリースでも構いませんが、概ね1年以上の契約期間であることがわかる契約書を申請時に添付します。

車庫の場所と前面の道幅

車庫は、原則として営業所に併設することになっていますが、そうでない場合は、営業所から車庫までの距離が決められており、その距離制限は地域によって異なっています。

例えば、関西では大阪市、神戸市、京都市、奈良市、和歌山市、大津市などでは10km以内、それ以外の地域などでは、5km以内となっています。

車庫の場所を決める前に、営業所を置く地域の距離制限を確認することが大切です。

車庫となる場所の前面道路の道幅は、事業用車両の通行に支障のないことが求められており、一般には6.5m以上必要とされています。また、申請時に車庫以外の用途に使用される部分と明確に区別されていることがわかる写真を添付します。もし、申請時に建築中であれば、建築が完成した後に提出します。

休憩・睡眠施設の設置

原則として営業所か車庫に休憩・睡眠のための施設を併設することになっています。乗務員1名につき、2.5㎡の広さが確保できるスペースが必要です。

休憩のための施設として適した環境でなければなりません。騒音がひどかったり、面積としては基準をクリアしていても大量に荷物等が置かれている等で、休憩場所としては機能し得ない場合は要件を満たしません。

また、休憩に必要な備品等についても申請のときには写真を添付しますので、準備が必要です。

運転者・運行管理者・整備管理者

事業をおこなうのに十分な人数の運転者や運行管理資格者(※1)、整備管理者(※2)を置かなければなりません。

※1 運行管理者になれるのは、次のいずれかのい要件を満たす人です。

  • 運行管理の実務を5年以上経験し、さらにその期間内に運行管理についての講習を5回以上受講した人
  • 公益財団法人運行管理者試験センターがおこなう運行管理者試験に合格した人(運行管理者試験の受験資格は、実務経験1年以上もしくは講習実施機関で基礎講習を受講した人)

※2 整備管理者になれるのは次のいずれかの要件を満たす人です。

  • 事業所で扱う車両と同種類の車両の点検や整備、整備の管理についての実務を2年以上経験した人
  • 三級以上の自動車整備士技能試験(一般社団法人日本自動車整備振興会連合会)に合格した人

法令試験

一般貨物運送業の許可を受けようとする申請者は、法令試験(一般貨物自動車運送事業の許可等に係る法令試験)に合格する必要があります。

この試験は、隔月ごとにおこなわれており、申請書類を提出した翌月以降に実施される試験を受験することになります。試験結果が合格基準に達しない場合は、その翌々月におこなわれる試験を再受験できますが、その試験でも合格しない場合は、書類の申請は却下されることになります。

試験の形式は〇×式、または語群選択式で、出題数30問、試験時間は50分間です。試験問題の8割以上の正解で合格となります。

欠格事項

次の事項に該当する場合は、許可を受けることができません。

  • 1年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日(仮釈放があってから残りの刑期が経過した日など)から2年を経過しない人
  • これまでに許可の取消しを受けた人で、その取消しの日から2年を経過しない人
  • 営業するための能力を有しない未成年者や成年被後見人である場合、その法定代理人が上記の2つにあてはまる場合
  • 法人の場合で、役員のうちの誰か一人でも上記3つのどれかにあたる場合

申請までの流れ

事業計画を立てる

前述した許可を受けるための要件を考慮に入れたうえで、営業所や車庫、休憩・睡眠施設の場所を決め、物件の確保・建築・手直し等をしたり、資金の調達、運転者や運行管理者、整備管理者等のスタッフの手配、車両の準備をしたりといった、事業をするうえで必要な環境を整えます。

申請書類の作成と提出

申請に必要な書類は、次のとおりです。

  • 申請書
  • 事業用自動車の運行管理等の体制
  • 事業計画を遂行するに足りる有資格者の運転者を確保する計画
  • 事業計画に関する資金及び調達方法
  • 付近の案内図、見取、平面図、求積図、写真
  • 都市計画法等関係法令に抵触しない旨の宣誓書
  • 施設の使用権原を証する書面(不動産登記事項証明書、賃貸契約書等の写し)
  • 車庫前面道路の道路幅員証明書または、幅員が車両制限令に抵触しないことを証する書面(前面道路が国道以外の場合)
  • 計画する事業用自動車の使用権原を証する書面(売買契約書、売渡承諾書、自動車リース契約書、車検証等の写し)
  • (申請者が既存の法人の場合)定款、寄付行為及び登記事項証明書、最近の事業年度における貸借対照表、役員及び社員の名簿及び履歴書
  • (法人を設立する場合)定款または寄付行為の謄本、発起人、社員または設立者の名簿及び履歴書、株式会社の場合は、株式の引き受け、または出資の状況及び見込みを記載した書類
  • (個人の場合)資産目録、戸籍抄本、履歴書
  • 欠格事項のいずれにも該当することを証明する書類
  • 利用事業者との運送に関する契約書の写し、貨物自動車利用運送の用に供する施設に関する事項を記載した書類(施設の使用権原を証する書類、貨物の保管体制を必要とする場合にあっては、保管施設の保管明細書)(貨物自動車利用運送をしようとする場合)
  • 法令順守の宣誓書
  • 委任状(代理申請をする場合)

法令試験の受験

申請者は、前述したように法令試験に合格することが必要です。詳しくは、こちら

運輸局での書類審査

運輸支局に申請書類一式を提出したのちは、管轄の運輸局での審査が始まります。書類に不備等がある場合は、補正が必要となります。その場合は、郵送か電話にて連絡が入ります。

審査に係る期間は、約3か月~4か月です。補正があれば、その補正に係る時間はこれに含まれませんので、補正に時間がかかれば、さらに長くなる場合があります。

許可の決定

書類に不備がない、または適正に補正が行われた場合で、法令試験に合格した場合は、審査が終了し、許可が決定されます。運輸支局から許可書の発行を受けます。

許可証の交付後に必要な手続き

許可証の交付を受けた後には、次のような手続きをします。

  • 登録免許税の納付(通知書に領収書を貼り、運輸局へ郵送する)
  • 車両の登録(運輸支局で連絡票に確認印をもらい、登録する)
  • 運行管理者選任届(運輸支局の整備部門へ提出する)
  • 整備管理責任者選任届(運輸支局の整備部門へ提出する)

事業開始後に必要な手続き

  • 運輸開始届(事業開始から30日以内に運輸支局の運送部門に提出する)
  • 運賃料金設定届出(運賃設定から30日以内に運輸支局の運送部門に提出)

事業のスムーズに始めるために

事業を始めるためには、様々な手続きや準備が必要です。また、陸運支局に提出する申請書類の作成にもかなりの時間と労力がかかります。

申請書類に関しては、それを専門とする行政書士に任せ、事業開始のための資金繰りや施設の手配、設備の準備、人材確保など、ハード面の準備にしっかり時間をかけることも、事業を順調に開始するための一つの良い方法といえます。

当事務所では、一般貨物運送業の開業に向けての準備をお手伝いします。申請書類一式の作成から車庫証明、運輸局での事後手続き、法人設立をする場合の手続き、法人設立後の保険関係手続き等、税理士、司法書士、社会保険労務士と提携し、一括してお引き受けいたします。

大阪・神戸など関西周辺で一般貨物運送業をお考えの方は、まず当事務所までご相談ください。

一般貨物自動車運送業の許可申請なら当事務所まで(相談無料)
行政書士 谷垣事務所  代表 谷垣 征和
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法人設立については、こちらの記事も参考にしてください。

車庫証明等車関係については、こちらの記事も参考にしてください。

 

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