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遺産分割協議書の作成|作成時の注意点と意外な4つの盲点

 神戸市灘区の行政書士谷垣征和です。
 今回は、遺産分割協議書を作成するにあたっての注意点のお話です。

遺産分割協議が必要なとき 

 亡くなられた方の遺言がない場合で、法定相続分通りに相続しないとき、もしくは遺言があっても遺言通りの相続をしない場合には、遺産分割協議が必要になってきます。
 遺産分割協議は、相続人全員の参加(遺贈を受けた人がいれば、その人も)と話し合いによる合意によって成立します。
 遺産分割協議をした場合にも遺産分割協議書を作らないケースもありますが、ほとんどの場合には作成します。これは、後々になって協議の中身について疑義を生じさせないためであり、不要な争いを避けるためでもあります。

遺産分割協議書が作れないことがある?意外な盲点

 ところが、いざ相続人全員が集まって遺産分割協議をし、遺産分割協議書を作成しようと思っても、次のようなことがクリアできていないために、作成できないことがあります。
 遺産分割協議書作成までに抑えておかなければならないポイントを確認しておきます。
 

①相続人の中に印鑑登録をしていない人がいる

 遺産分割協議で決まったことは、遺産分割協議書にまとめられます。遺産分割協議書には、参加した相続人が実印を押します。民法で定められているわけではありませんが、銀行などで手続きをする場合には、ほとんどの場合で印鑑証明書の提出も併せて求められるため、印鑑登録した実印を押すことが必要になります。そのため、印鑑登録ができていない人がいると、遺産分割協議書に実印が押印できないことになり、結果遺産分割協議書が完成しないことになります。
 印鑑登録は、住民登録をしている市区町村の役場に身分証明書を持参すれば、即日発行してもらえますので、事前に登録手続きをしておくことが大切です。
 

②海外に住んでいる相続人がいる

 
 海外にいたとしても、一時的な滞在で、日本に住民票がある場合は、代理人に印鑑証明書を取ってもらうことはできますが、日本に住所がない場合には、取ることはできません。

署名証明

 そのため、海外に住んでいる相続人がいる場合は、印鑑証明書の代わりになるものが必要です。「署名証明」は、居住している国の在外公館(大使館など)で、領事の面前でサインをし、そのサインが間違いなく本人のサインであることを証明してもらうもので、これが印鑑証明の代わりとなります。(一通1700円)
 この「署名証明」は、2種類あります。
 
 ■(契印による作成)
 一つは、サインが必要な書類(遺産分割協議書)を持参し、領事の前でサインをすることによって、領事はそのサインが間違いなく本人によるものである旨の証明書を発行してもらい、その証明書と持参した書類に契印を押してもらうことにより作成するものです。
 
 ■(単体での作成)
 書類(遺産分割協議書)を持参することなく、在外公館で用意された用紙に領事の前でサインをし、それが間違いなく本人のサインであることを証明してもらうものです。この証明書の場合は、本人がサインをした用紙に領事の証明が入っており、これが単体で証明書となります。
 
 どちらも「署名証明書」ですが、遺産分割協議書を何に使うかによってどちらのタイプのものが必要かが決まってきます。相続登記や銀行での預金の解約等の手続きに使う場合、登記所や金融機関がどちらのタイプを指定されるかによって証明書の種類が変わりますので、事前の確認が必要です。
 

印鑑登録のできる地域・国もある

 
 例えば台湾や韓国は、在外公館で印鑑登録ができます。この場合は、印鑑登録を済ませたうえで、印鑑登録証明書を発行してもらうことができます。在外公館に問い合わせてみるとよいでしょう。

日本の公証役場で署名証明をもらう

 
 海外でお住まいの方が、遺産分割協議に参加するために帰国したとき等に、日本の公証役場でサイン証明をもらうこともできます。この場合は、原則「契印による作成」タイプでの作成になります。事前に公証役場に連絡して、確認を取るようにしてください。
 
 ちなみに、海外にお住まいの相続人の方が、土地や建物といった不動産を相続する場合は、住民票に代わる「在留証明書」が必要になります。こちらも、在外公館で発行してもらえます。その国にいつから住んでいるのかがわかるものを持参して、証明を受けることになります。必要書類について確認したうえで、「署名証明」と一緒に申請するとよいでしょう。

③相続人の中に行方不明の人がいる

 
 この場合は、遺産分割協議自体ができなくなってしまいます。遺産分割協議は、相続人全員の参加によって成立するとされているからです。しかし、いつまでたっても遺産分割協議ができないのでは、相続分を決めることもできずに、相続手続きが前に進みません。戸籍の附票を取って住所を調べることはできます、その住所にも居住していないこともあり、いくら探しても見つからない場合もあります。

不在者財産管理人選任の申立て

 
 そのような場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任の申立てをして、行方不明の相続人の代わりに財産の管理をする人を選任してもらうことができます。ただし、この不在者財産管理人は、基本的には財産を管理することしかできません。そのため、遺産分割協議に参加するためには、さらに「権限外行為許可の申立て」をして許可を取る必要があります。
 不在者財産管理人の仕事は、遺産分割協議が終わった後も、行方不明者の財産を管理します。不在者の所在が判明するか、不在者の死亡が確認されるか(失踪宣告含む)、財産がなくなるまで、その役目は続きます。
 話は少しそれますが、「帰来時弁済」という遺産分割の方法により、行方不明者の財産を他の相続人に預かってもらい、行方不明者が発見されたときに、協議書に記載された財産を支払うという方法もあります。この方法を取るには、家庭裁判所の許可が必要となります。ただし、相続財産があまり多いと、許可されないこともあります。

失踪宣告

 
 行方不明者の生死が、7年間明らかでないときは、家庭裁判所は利害関係人(配偶者や相続人など)の請求によって、失踪の宣告をすることによって、7年たった時点をもって死亡したとみなされます。また、危難に遭遇しての不明の場合、1年間生死が明らかでないときは危難が去った時をもって死亡したとみなされます。
 失踪宣告がなされると、死亡したとみなされるため、遺産分割協議は不明者以外の相続人で行うことができます。7年経ったならば必ず失踪宣告の申立てをしなければならないという意味ではなく、失踪宣告をせずに前述の不在者財産管理人の選任を申立てることもできます。
 失踪宣告をして、遺産分割協議を終え、相続手続きを得て財産が相続人に継承された後、行方不明者が戻ってきた場合は、どうなるのでしょう?
 この場合、相続した財産を変換する義務が生じます。ただし、行方不明者が生きていることを知らずに失踪宣告をした場合には、現に残っている財産についてのみ返還すればよいことになります。これは保険金についても同じことが言えます。また、遊興費に費やしてしまった財産は、現存する利益がないため、返還する義務はありません。
 

④相続人の中に未成年者がいる

 
 相続人の中に未成年者がいる場合は、未成年者は単独で法律行為を行うことができないため、代理人が必要となります。法定代理人は、通常、親権者ですが、相続の場合は親権者も相続人であることが多く、その場合には、利益相反行為にあたるため親権者が代理人になることができません。利益相反行為とは、一方の利益が他方の不利益となることです。たとえば、親がたくさんの相続財産を得てしまい、子の相続財産を少なくするといったことも考えられるため、そもそも親が代理人となることをみとめていないのです。
 この場合、家庭裁判所に「特別代理人」の選任の申立てをします。この特別代理人には、利益が相反しない親族を候補者に選ぶことができますが、最終的には家庭裁判所が適任者を選びます。子が2人いるときには、それぞれの子に特別代理人がつくことになります。
 必要書類には、遺産分割協議書案が必要になりますので、早いうちから準備をすることが大切です。

まとめ

 遺産分割協議書の作成にあたっては、いろいろな事情を考える必要があります。慣れていないと「ちょっと、大変だな。」と感じられる場合もあることと思います。
 
 神戸、大阪周辺にお住まいの方、そんなときも、ご安心ください。
 
 当事務所では、一からアドバイスをいたします。また、遺産分割協議書自体の作成も、もちろんお引き受けいたします。お気軽に、ご連絡ください。
 

行政書士 谷垣事務所  代表 谷垣 征和
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