行政書士 谷垣事務所 代表 谷垣 征和
お気軽にご相談ください (078)855-4231
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神戸市灘区の行政書士谷垣征和です。
今回は、相続時の預金の引き出しについてのお話です。
亡くなられた方の名義の銀行口座はどうなるのでしょうか。
銀行口座は、名義人が亡くなったことを銀行が知った時点で現金を引き落とすことができなくなります。いわゆる、銀行口座の凍結です。
どのようにして銀行が事実を知るのかについては、いろいろな原因がありますが、いちばんは多いのはご遺族の方からの報告によるものです。
口座はなぜ凍結するの?
日常生活の中で、例えば生活費に充てるために、夫の口座からお金を引き出すことなどは、普通に行われていますが、口座凍結後は、たとえ妻であったとしても、お金を引き出すことはできなくなります。
これは、亡くなられた方の預金に関しては、相続の対象となり、相続人全員の共有となるからです。銀行は、その後のトラブルを避けるために口座を凍結し、相続人とはいえ特定の人の行為によって相続財産が減少しないようにするのです。
凍結後の口座は、どうすればいいの?
預金があるにもかかわらず、口座からずっと引き出せない状態のままでは困ります。
では、どのようにすれば凍結した口座を解除できるのでしょうか。
では、どのようにすれば凍結した口座を解除できるのでしょうか。
これについては、遺言があるときとないときで、手続きの内容が異なります。
遺言があるとき
遺言があるときは、主に次のような書類が必要です。(金融機関によって、若干異なります。)
- 遺言書
- 遺言書の検認調書またな検認済証明書(公正証書遺言の場合以外)
- 亡くなられた方の戸籍謄本(生まれてから亡くなるまでの分)
- 預金を相続する人の印鑑証明書 など
遺言で遺言執行人が指定されている場合、または相続人から家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをして、遺言執行者が決められた場合、相続人の戸籍謄本の代わりに遺言執行者の印鑑証明書で手続きは済むため、遺言執行者は単独で払い戻し等ができます。
遺言がないとき
遺言がないときに、必要な書類は主に次の通りです。(金融機関によって若干異なります。)
- 遺産分割協議書
- 亡くなられた人の除籍謄本と戸籍謄本(生まれてから亡くなるまでの分)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
遺言がないときは、遺産分割協議書や相続人全員の印鑑証明書など、作成したり集めたりするのに時間のかかるものが必要になってきます。つまり、相続人全員の協力が必要ということになります。
一定の預金は下ろせる(民法改正による相続預金の払い戻し制度)
銀行口座が凍結してしまうと、払い戻しができなくなり、その結果お葬式の費用など、すぐに必要なお金に困るといった場合も考えられます。
平成30年の民法改正によって、そうした場合に対応するための制度ができました。
これは、相続財産である預貯金について、その額に1/3をかけた額に、さらに法定相続人の相続分をかけた額を、単独で権利行使できるというものです。
例えば、亡くなられた方の預金が500万円、法定相続人が妻と子ども2人の場合、子どもの一人が引き出せる額は次のようになります。
(この場合、子一人の法定相続分は、1/2 × 1/2 = 1/4)
600万円 × 1/3 × 1/4(法定相続分) = 50万円
ただし、この金額には150万円までという上限があります。預金額が多ければ、計算結果が150万円を超えることも考えられますが、その場合でも150万円が限度でそれ以上は払戻しできません。
また、こうして引き出したお金は、遺産の一部を取得したとみなされますので、例えば遺産分割協議での話し合いの中では、その取得した金額は、すでに受け取ったものとして協議が進められることになります。
家庭裁判所による仮分割の仮処分
上記以外の制度としては、家庭裁判所による「仮分割の仮処分」というものがあります。債務の弁済、相続人の生活費、その他の事情がある場合において、家庭裁判所が必要と認めた金額について、仮に取得できるという制度です。この金額は、他の相続人の利益を害さない範囲とされています。
まとめ
銀行口座が凍結してしまうと、葬儀費用、医療機関への支払い、配偶者の生活費など、必要な経費も使えなくなってしまいます。この場合でも、「相続預金の払い戻し制度」や「家庭裁判所による仮分割の仮処分」の制度を使って、差しあたっての費用は解決できますので、場面に応じて利用することも必要です。
また、遺言執行者の指定が遺言にあれば、遺言執行者が即座に動くことによって、よりスムーズな解決が期待できるでしょう。遺言を書くにあたっては、そうしたことも踏まえておくとよいでしょう。
当事務所では、相続・遺言に関する様々なご相談をお受けいたします。
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