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遺言書は書き直せるの?〜書くのにベストなタイミングとは〜

 神戸市灘区の行政書士谷垣征和です。
 今回は、遺言の効力や書くタイミングについてのお話です。

遺言書と抵触する財産処分

 遺言書を書いたほうがいいのか迷われている方の中に、遺言書を書いてしまうと、自分が今もっている財産が使えなくなってしまうのではないかと心配される方がいらっしゃいます。それは、次のような心配からくるものです。

 遺言書には、「財産目録」をつけることがあります。この財産目録は、必ずしも作成しなければならないものではありませんが、作っておけば「遺産分割協議」(相続人全員による遺産分割の話し合い)のときに、非常に役立ちます。

 財産目録には、もちろん遺言者の財産を記載することになりますが、遺言者にとってこれが一つのプレッシャーになることがあります。つまり、遺言書に記載してしまったにもかかわらず、たとえば不動産を処分した、預金を下ろして使ったなどの行為をすることで、遺言書の内容と実際の遺産に食い違いができてしまい、せっかく書いた遺言書自体が無効になるのではないか、というものです。

 実際のところは、遺言書自体が無効になることはありません。
 民法1023条には、遺言者が、遺言後に遺言の内容と異なる生前処分や法律行為を行った場合は、抵触する部分について遺言を撤回したものとみなされることが規定されています。

 つまり財産を処分した場合は、その部分のみについて遺言が撤回され、なかったことになるだけで、それ以外の遺言については依然として有効なのです。

遺言の効力はいつから?

 遺言とその後の財産処分については前述の通りですが、それでも遺言書を書いてしまうと、自分の財産を使うことになんとなく後ろめたさを感じるのではないかと思われる方がいらっしゃいます。
 遺言書を書くことが、一つの約束をしたように感じてしまうからなのかもしれません。

 しかし、これについても何ら心配することはありません。
 民法985条には、次のような規定があります。

 「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。」

 遺言は、相手方のない単独行為とされています。死亡の時に初めてその効力が発生するのであって、遺言を書いた時点では何の効力もありません。遺言が厳格な法式に則ることが必要とされているのは、遺言者がいなくなってから効力を生ずるものであるからです。

 つまり、遺言者の生前に財産があってもなくても、遺言者が亡くなるまでは、相続人となる予定の人(推定相続人)には、何も影響しないのです。ましてや、遺言とは遺言者の最後の意思の実現を達成するためのものなので、遺言を撤回するも、新しく作り変えるも遺言者の自由でなければならないのです。

 以上のことを踏まえると、遺言を残すことにあまり肩肘を張る必要はなく、また、遺言を書いたからと言って、それに縛られることもなく、必要であればいつでも書き直せるという気持ちをもって、遺言を書いてみることもいいのではないかと思います。

遺言書を書くタイミング

 それでは、遺言書を書くタイミングは、いつがベストなのでしょうか。

 これについては、結論を先に申し上げると、「できるだけ早く」ということになります。

 今現在、差し当って必要性が感じられ物事については、ついつい先延ばしにしてしまいがちですが、遺言書に関しては、先延ばしにして良いことはありません。

 なぜなら、必要性が感じられるようになる前に、書けなくなることがあるからです。

 自分はまだ大丈夫と思っていても、未来は誰にもわかりません。1週間さきのことどころか、明日のこと、1時間先のことですら、確実に予想することなどできないのです。

 そう考えると、「できるだけ早く」というのが、遺言書を書くタイミングであることがわかっていただけるのではないでしょうか。

 「とりあえず書く」でもいいと思います。その後状況が変化して、書き直そうと思えば、その時点で書き直せばいいのです。

 とにかく、気持ちも体も元気な状態のうちに書くということが大切です。

 書こうと思ったときにしか書けないのが遺言書です。しっかりと判断できる間に書かなければ、せっかく書いた遺言書も無効になることがあります。そうなっては、何の意味もありません。

 遺言書作成について、神戸、大阪等周辺にお住まいの方は、お気軽にご相談ください。

 当事務所では、依頼者の意向に沿った遺言書を一緒に考えさせていただきます。

行政書士 谷垣事務所  代表 谷垣 征和
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